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久しぶりに出会えた小説
斬新、鋭い視線
着地点のよくわからないおもしろさ「よそのお母さん」では主人公の付き合ってきた男たち、というよりその母たちとの付き合いがユーモラスな挿話とともに淡々と語られ、一転して鮮やかな結末へと至る。「情け」の主人公は身ひとつでニューヨークへ出てくる。どうやら訳有りの彼女の職探しの日々と、中華料理店を営む風変わりな親子とのぎこちない交流が交互に描かれ、これも印象的な結末を迎える。いずれの作品にも著者のさりげない計算がゆきとどき、感情の表現も控え目である。シングル女性の不平不満を代弁し共感を得ようとする、よくあるタイプの小説とは一線を画しているのだ。
著者の描く女性たちは暗い過去を抱えていたり、現状に不満を持っていたりで、決して順調な人生を送ってはいない。それでいて読後感は重くなくさわやかですらあり、自己憐憫などは一切感じさせない。それは抑制の効いた表現と乾いたユーモアによるものだろう。主人公たちは不安定な状況下にあっても、最後には地に足のついた選択をして日々を生き続けていくことが暗示される。諦念の向こうに見えるささやかな希望。そんな作品集である。(工藤 渉)
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